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移動販売・移動図書館がもたらす日常の楽しみ、人との交流(後編)

平成医療福祉グループでは、ミッション「じぶんを生きる を みんなのものに」を掲げています。ミッションを実現するための行動指針(アクション)の一つに「個人の意志とその人らしさを尊重する」(※)があり、この指針に沿って、利用者さんが生活のなかでの楽しみを増やすことを目指す取り組みをお伝えします。

今回ご紹介するのは「移動販売・移動図書館」を導入する介護施設の取り組みです。こうしたサービスが利用者さんの日常生活にどのような影響をもたらすのか、また、施設と地域との間にどのようなつながりを生むのか、前後編に分けてくわしくお伝えします。

後編は「移動販売『あおぞらスーパー』」を導入する「ヴィラ泉」(神奈川県横浜市泉区)の事例をお届けします。

※: グループサイト参照

※前編はこちらからご覧ください


地域とつながる「あおぞらスーパー」

介護老人福祉施設「ヴィラ泉」では、地域貢献の目的で2021年8月より「あおぞらスーパー」を実施しています。「あおぞらスーパー」とは、ヴィラ泉の駐車場に事業所や企業が週替わりで訪れる、出張販売の総称です。

今回の記事では「あおぞらスーパー」の一つ、株式会社ローソン(以降、ローソン)(※1)による出張販売を中心にご紹介します。

【あおぞらスーパー実施概要】
「ヴィラ泉」駐車場にて月4回、木曜日に実施中(滞在時間は1時間)
1週目:ぱん家(各種パン類販売)
2週目:就労継続支援B型 いずみのさと ホップ(各種パン類販売)(※2)3週目:株式会社ローソン(飲料水、菓子、日用品販売)
4週目:就労継続支援B型 いずみのさと ホップ(各種パン類販売)

※1:株式会社ローソン
全国に約14,500店舗(国内のみ、2021年2月末時点)を持つコンビニエンスストア。一部の店舗では、ローソン店舗から距離のある高齢者施設や企業、工場などに訪問し、食品や日用品などの移動販売を実施しています。「ヴィラ泉」への移動販売は泉中田西一丁目店が実施しています。

※2:就労継続支援B型 いずみのさと ホップ
地域に根差した高齢者介護サービス、障がい者福祉、保育サービスを担う「社会福祉法人 誠幸会」の事業所、「就労継続支援B型 いずみのさと」が、障がいを持つ方の就労を支援するサービスの一つとしてパン製造と販売を行っています。ここで当施設の利用者様がパン製造のほか、区役所や養護学校、高齢者施設への販売を行っています。




「地域に恩返しをしたい」その想いから駐車場を開放

「あおぞらスーパー」を始めたきっかけは、社会福祉法人 公正会 横浜市上飯田地域ケアプラザ(※)からの「地域の交流の場として、施設を開放してみませんか」という声がけでした。

もともとヴィラ泉では、災害時に近隣住民の方や自治会から、無償で必要なものを貸し出してもらったり、困りごとはないかと心配の声をかけてもらったりと、さまざまな協力を受けた経験があり、職員一同が「地域に恩返しをしたい」という想いを強く抱いていました。

そのため、梅田 正道施設長は「施設開放」の提案を受けた際、「ぜひ駐車場を提供して、近隣住民の方にも使っていただこう」と決めたそうです。駐車場の利用方法については近隣自治会と確認し、地域のニーズに合わせた出張販売を行うこととしました。

利用者さんに職員が付き添い、買い物をする様子。

商品の購入は、利用者さんの状況に合わせて事前に注文表を渡す方法と、外で直接買い物をする2つの形式で行っています。また、駐車場での買い物は、新型コロナウイルス感染症対策のため、最小人数で間隔を空けて実施。それぞれに職員が付き添ってじっくりと商品を選ぶため、希望者全員の実施が難しい状況ですが、回ごとに交代で参加する対応を取り、みなさんが買い物を楽しめるように工夫しています。

ローソン販売車には、スナックやロールケーキなどの菓子類から、洗剤や歯磨き粉といった日用品まで、バラエティー豊富な商品がそろっています。毎回、販売に訪れるローソンクルーの話によると、ヴィラ泉では特に菓子類の売れ行きが好調とのことです。

デイサービスに通う方には、自分だけではなく家族の分も購入される方も多く、菓子を数袋買いこまれる姿も見受けられました。

また、散歩の途中で利用者さんに交じって商品を選ばれる近隣住民の方もちらほら見られるなど、少しずつ地域でも「あおぞらスーパー」は認知され始めました。

※:社会福祉法人 公正会 横浜市上飯田地域ケアプラザ
子供からお年寄り・障がいのある方まで、安心して暮らせるよう地域福祉活動の拠点として地域の方と一緒に推進。誰もが住み慣れた町で、安心して暮らせる地域を作っていくための拠点として、地域の福祉・保健活動を支援し、福祉・保健サービス等を身近な場所で総合的に提供しています。


利用者さんは、施設の職員やローソンクルーの方と、時折会話を弾ませながら商品を選びます。


利用者さんの日常にハリを与え、地域との交流を深める場に

移動販売車を迎える準備から、利用者さんの移動介助までを担当する、ヴィラ泉職員の島田 三枝子さん、吉岡 啓子さんの話によると、利用者さんにとって「あおぞらスーパー」は暮らしのなかで大きな役割を持っているようです。

施設で生活されている方にとっては、「買い物」は日常ではなかなか体験できない行動であり、駐車場への移動とはいえ「外出する一つの機会」でもあります。また、販売車が来る日を心待ちにされることで、日付や曜日感覚を意識できるため、良い影響があるそうです。

さらには、移動販売車に向かうために、おしゃれをしてブローチをつけたり、化粧をしたりと気持ちが華やぐ様子の方もいらっしゃるとのこと。「あおぞらスーパー」は、利用者さんの日常に「ハリ」をもたらしているようです。

梅田施設長は、コロナ禍が収束したら移動販売車の側にテーブルや椅子を設置しようと考えており、利用者さんや近隣住民の方が垣根なく集い、気楽にお茶を飲みながら語り合える「憩いの場」が生まれればと願っているそうです。

「あおぞらスーパー」は今後ますます、買い物を介して人と人とのつながりを広げ、地域との結びつきを深める場としての発展を目指します。


〈ヴィラ泉〉

神奈川県横浜市泉区に立つ介護福祉老人施設。「安心」「安全」「笑顔」をキーワードに、豊かな日常を送っていただけるようサポートいたします。特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイのサービスをご提供します。

〒245-0018
神奈川県横浜市泉区上飯田町4495
045-301-2900


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