職員食堂の魅力を再発見! 「おいしい を みんなのものにプロジェクト」がスタート! vol.1
私たちのグループでは、患者さんや利用者さんに毎日の食事を楽しみにしてもらえるよう、365日×3食に異なるメニューを提供しています。同じように職員食にも力を入れ、患者さんや利用者さんと同じ献立を、事業所内の厨房で一から作っています。
社員食堂や学校給食では委託業者の活用も多いなか、私たちの食堂ではコロッケだって、じゃがいもを茹でて潰すところから厨房で手作りをしているーー。こうした職員食のよい面は、もしかしたらグループ内の職員にもあまり伝わっていなかったかもしれません。
ほかではなかなか真似できないグループの職員食の魅力や意義を伝えるとともに、栄養部内にあった課題にも取り組んでいく今回のプロジェクト。
ポスターや食堂のツール制作に携わった広報部が、プロジェクトの取り組みを紹介していきます。第1回目となる今回は、プロジェクトの経緯や目的について、栄養部部長の堤 亮介さんに話を聞きました。
快適な食堂環境で、手作りのおいしい食事を
ープロジェクトをはじめたきっかけは?
職員食は1食300円ほどで、みなさん毎月の給料から天引きされています。そうすると、「給食費を取られるなら自分で持ってくるのに」「給食じゃなくて自分の好きな物が食べたい」「なんで給食を食べなきゃいけないの」といった声も一部ですが出てきていました。ですので、まずは今回のプロジェクトでは、グループとしての職員食の意義をしっかり伝えていこうというのが一番の目的です。
一方で、栄養部内にも課題がありました。患者さんや利用者さんにおいしく食べてもらうことがメインで、職員食は二の次。職員食を「従食(従業員食事割引制度)」のように捉える空気があったのも事実です。だから、栄養部内でも今回のプロジェクトを機に考え方を整理して、職員食の価値を再認識する機会にしたいと思っています。
ー新しくマニュアルも作ったと聞いています。
職員食堂運営マニュアルを作りました。
職員食は個々に取り分けるビュッフェ式なので、ドサっと盛りつけたり、数だけ足りていればいいと考えたりしがちでした。サービング用品1つとっても、厨房で使わなくなったバネの壊れたトングなんかを使っていることもあって。職員が使うから許されていたところがあったんです。
運営マニュアルでは、職員食の取り組み方に関してマインドの部分を示すとともに、使う食器や用品など具体的な運営方法についても示しています。
ーマニュアルでは食堂の環境についても触れてますね。
これはグループの代表に言われて私も気づいたことですが、食堂の窓をあまり開けていないから空気が悪かったり、カーテンも閉じたままだったりと食堂の環境にあまり意識が向いていなかったんです。
そこで今回のマニュアルでは、職員食堂を快適に利用してもらえるよう、食堂開始前の準備として、「テーブルの消毒や換気など環境整備を行う」「カーテンを開けたり音楽をかけたりするなど食事を食べる環境を整える」といった内容を盛り込みました。
掲示物に関しても見直しています。コロナ禍からの流れがあったので、「静かに食べてください」とか「喋らないで」とか、あとは食数を管理するために「取りすぎないで」とか、禁止・制限を表すような言葉ばかりでした。こういう言葉ばかりが目立つ空間は果たして快適かーー。表現に関しても見直しを進め、広報部がツール制作をしてくれています。
どうすれば快適な食堂になるかを、みんなで考えていきたい
ー職員食堂全体を見直していく取り組みなんですね。
あとは単純に、職員においしく食べてもらおうっていうのを、栄養部のみんなに再認識してもらうというか。料理って、気持ちで味が変わるといっても過言じゃないと思うんです。「職員のみなさんにも心を込めて作ったおいしい食事を食べてもらう」を共通認識にして、厨房職員のマインド面とハード面、両方にアプローチしていきます。
職員食堂に限ったことではないですが、うちのグループは新しい事業所の開設時にハード面をブラッシュアップしていくんです。だから、新設の事業所がない地域ではブラッシュアップされた情報が届いていなかったりして、最近になってオープンタイプのビュッフェウォーマーを初めて見たという事業所もありました。
一方で、調味料を自由に使っていいという昔からあるサービスを、新しくできた事業所は知らなかったりとか。職員食堂のハード面は事業所間の差が大きいので、こうしたことも改めてマニュアルにまとめました。定番の機械や食器を一覧にまとめておき、今使っている機械が壊れた時などに、最新の物を導入しやすくしています。
ーグループ内の職員食堂を統一化していくのですか?
完璧に統一させることがいいとは思っていません。事業所ごとに食堂の個性があってもいいんです。徳島県の事業所なら、職員の誰かが持ってきたスダチが「ご自由にどうぞ」と置いてあってもいい。
マニュアルに載っているのは最低限のルールなので、事業所ごとにアレンジしていいし、各事業所でどうすればそこで働く職員にとって快適な食堂になるかを考えてほしい。それがこのマニュアルを作った目的でもあります。
ーそれぞれのやり方を試していっていいんですね。
例えば食堂の運営時間は、11〜14時までの間で各事業所で調整するようにしています。事業所によっては、この曜日はレクがあってご飯を食べに来られない職員がいるから、お昼は遅めの時間にしようとか、リハビリスタッフが多く在籍している事業所はご飯を多めに用意したほうがいいねとか、状況に合わせて調整できるよう、ゆるさを持たせています。
「おいしかった!」の一言がもらえるとうれしい
ー新たに食堂に設置したポスターには、QRコードを読み込んで、職員食への意見が気軽に投じられるようになっています。ここで集まった職員からの声は、どのように活用していきますか?
各事業所にフィードバックして、食堂運営に生かしていきたいと思っています。また、今回のポスター制作の一つの目的として、栄養部の職員と他部署の職員とが顔の見えるコミュニケーションをとるきっかけにしていきたいというのもあったんです。
厨房は衛生的に管理しなければいけないので、どうしても閉鎖空間になりがちです。だから、厨房の職員とあいさつしたり、話したりしたことがない人も多いと思うんです。職員食を作っているのが、同じグループ職員だということを知らない人すらいるんじゃないでしょうか。
なので、いただいた意見に厨房の職員から返事をするなどし、コミュニケーションのきっかけにできたらいいですね。つながりが生まれると職員食の満足度にもつながっていくと思うんです。
ーより快適な食堂にしていくためにも、どんどんご意見ください!って感じですね。
はい。ただ、ご意見をくださいというと、「もっとこういう風にしてほしい」とか「これがおいしくなかった」とか、改善してほしいことばかりになってしまうことがあります。でもね、作ってる側からすると、「今日の食事、おいしかった!」ってコメントがあると純粋にうれしいですし、モチベーションが上がるんです(笑)。
ー「おいしかった!」の感想を伝えるだけでもいい?
そうなんです。その大事さがよくわかったのは、私が「ケアホーム三浦」の開設に関わった時でした。三浦って職員食堂のすぐ前に厨房があって、いいことかどうかは別として、厨房のドアが簡単に開けられるんです。そうすると、食事を食べた職員が「今日のおいしかったよ!」とか、すごく自然に厨房の職員に声をかけて食堂を出ていくんです。
おいしかったって言われるとやりがいがありますし、三浦の厨房は楽しい職場になっています。なかには、「これおいしかったからレシピ教えて」みたいなコミュニケーションも生まれているようです。
ー今回のプロジェクトを通して、こういうコミュニケーションがグループ全体に広がっていったら素敵です。ありがとうございました。
プロジェクトのポスターでは、厨房で働く栄養部のみなさんに私服で登場いただきました。厨房ではマスクに帽子で顔が見えなかった職員の私服姿。一人ひとりの自然な姿が見えたことで一気に親近感が湧きました。今日食べたお昼ごはんも、この方たちが作ってくれているんだなぁって思うと、おいしさが増しそう。顔が見える関係になるって大事ですね。
次回からは、「おいしい を みんなのものにプロジェクト」ポスター一枚一枚を取り上げながら、私たちグループの職員食堂の魅力や意義に迫っていきます。