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想いが巡る「くるりプロジェクト」

当グループが運営する障がい者就労支援B型事業所OUCHI(東京都足立区)(※)にて、2021年11月に実施された「くるりプロジェクト」。OUCHIの手作りパンを、近隣の児童養護施設「クリスマス・ヴィレッジ」(東京都足立区)の子どもたちへクリスマスプレゼントとしてお届けするという企画です。

今回は、「くるりプロジェクト」が実施に至った経緯や、関わった方々の想いをくわしくご紹介します。

※当グループの障がい者支援施設において、障がいを持つ方の就労を支援するサービス(就労継続支援B型)を利用する方を、本記事では「スタッフ」と総称します。


「くるりプロジェクト」とは

“くるり”とは、誰かの優しい想いが、円(縁)を描きながらくるりと巡って、別の誰かの想いにつながっていくことをイメージした言葉。

「くるりプロジェクト」は、モノと思いやりでつくる、幸せの経済循環を目指したアクションです。

「くるりプロジェクト」第1弾は、児童養護施設クリスマス・ヴィレッジの子どもたちに、笑顔や楽しいひとときを贈ろうという想いから企画されました。OUCHIが運営するCAFEに来られたお客さまが、ランチやお買い物のついでに「くるりパン」を1つ注文下さるごとに、クリスマス・ヴィレッジの子どもたちへのプレゼントが1つ増えていくという仕組みです。

受付期間を11月1日からの1カ月と設定していましたが、11月12日には、早くも目標の80個が完売となりました。

地域の方の想いを受けて、OUCHIスタッフが心を込めて作ったパンは、クリスマス直前の12月22日に、無事お届けすることができました。当日は、今回の企画を支援してくださった一般社団法人おせっかい子育てプロジェクト(※)代表の染谷 江里さんも駆けつけてくれました。
時間の都合で子どもたちには会えませんでしたが、その日のクリスマス会にてサプライズとして渡されるとのこと。この日、OUCHIスタッフは、子どもたちの笑顔に思いをはせながら施設を後にしました。


くるりパンを袋に詰めて、クリスマス・ヴィレッジへ向かいました。
くるりパンをクリスマス・ヴィレッジの職員の方に託します。
左:今回の企画に協力してくださった染谷 江里さん   右:クリスマス・ヴィレッジの自立支援コーディネーター郡司 公太さん

※一般社団法人おせっかい子育てプロジェクト
足立区内の児童養護施設を中心に活動するボランティア団体。どんな境遇でも負い目を感じることなく、さまざまなことに向き合い、子供達が未来に希望を持てる社会を創る。地域の方々と共にワークショップ、マルシェを開催。マルシェの売り上げの一部は卒園する子供達の未来のために寄付いたします。
一般社団法人おせっかい子育てプロジェクト


OUCHIが「くるりプロジェクト」に込めた想い

パン職人の小林めぐみさんとサービス管理責任者の石坂康彦さんに、「くるりパン」開発の経緯や、プロジェクトにかける想いについて聞きました。

左:小林 めぐみさん 右:石坂 康彦さん

「くるりパン」は、OUCHIでクリスマス期間に限定販売されるサンタクロースパンをベースとして、今回の企画用に新しく作ったものです。開発を担当した小林さんは、子どもが好む味を想定して、試行錯誤を重ねました。

「サンタクロースパンの中身には、OUCHIで作られるチョコレートを使っていたのですが、子どもが喜ぶ味を目指したいと思い、変更を加えました。OUCHIのBean to Barスタイル(※)で作られるチョコレートはダークチョコレートなので、これにきび砂糖、豆乳、ココアパウダーなどを加えて優しい甘みをプラスしています。納得する味になるまで試作を重ね、OUCHIのみんなにも試食してもらい、完成となりました」。

パン作りもチョコレート作りにも、全工程にOUCHIのスタッフが関わっています。スタッフのみなさんは、クリスマス・ヴィレッジの子どもたちへ想いを寄せながら、作業を進めたそうです。

「このプロジェクトに賛同してくださった方の想いを、ちゃんとパンという形にして届けようと、スタッフのみんなで一丸となって作り上げました。サンタのデザインの細かい部分など、とても手間はかかるのですが、スタッフは『すごく楽しい』と言いながら丁寧に作業していましたね。みんなで、クリスマス・ヴィレッジの子どもたちに少しでも笑顔を届けられたらいいなという想いを共有しています」。

小林さんたちがクリスマス・ヴィレッジへパンを届けに行く際、都合によって一緒に行けなかったスタッフからは「私の気持ちも一緒に届けてきてくださいね」と声をかけられたそうです。

※カカオ豆〈bean〉から板チョコ〈bar〉にするまでの全ての工程を、一つの工房で行うことをいいます。OUCHIではその工程に、精神障害をもつ方々が関わっています。
※OUCHIのチョコレートについて、くわしくはこちらをご覧ください。


OUCHIスタッフが、くるりパンを製造する様子。

プロジェクトへの参加は、OUCHIスタッフにとっても地域とのつながりを実感する機会となりました。石坂さんは、今後もこうした企画にスタッフが関われたらと話します。

「OUCHIはカフェとして、地域の方への憩い空間のご提供を続けているほか、これまでも町内会の会議をこちらで開いたり、アートスペースとして活用したりと、西新井のみなさんとの関わりを大切にしてきました。

今後も、OUCHIスタッフの活躍を介して、地域とのつながりを深めていけることに協力できたらと思っています」。


地域の子どもたちが笑顔になるよう、プロジェクトを展開

最後に、OUCHIと共にこのプロジェクトを進めた介護福祉事業部の水戸 抄知さんに、第1弾を終えての感想と今後の展望を聞きました。

「スタート時は、目標を達成するために、しっかりPRをしなければとチラシ配りから奔走しましが、チラシの配布先ですぐに注文が入ったり、地域で活動を進めている染谷さんたちが情報を発信してくださったりと、素早いリアクションが得られました。また以前からOUCHIの活動を通じてつながっていた方も賛同してくださり、あっという間にプロジェクトが終わったな、という感じです」。

「くるりプロジェクト」を支援してくださった方々からいただいた「参加しやすかった」という声。ここに、支援がスピーディーに集まった秘訣がありました。

今や支援や寄付にはさまざまな形態がありますが、今回の企画は『カフェで使うお金にほんの少しプラスするだけで、自分が住んでいる地域の子どもたちの喜びにつながる』という、身近な距離感と支援対象が明確である点、そして手軽な金額設定が、より多くの方に『参加しやすい』と思っていただけたポイントだったのではないかと思います」。

プロジェクトを終えた今、「“くるりパン”を介したつながりは、対象者とプロジェクトに関わった人たちとの間に相互作用を生じさせている」と、水戸さんは話します。

「例えば、いつもはOUCHIスタッフは就労支援施設の利用者として支援を受ける側の立場にありますが、今回の取り組みにおいては“応援する側”に立ってものづくりをする機会を得ました。

スタッフは普段、自分たちがつくったものがどんな方へ届いているのか、必ずしも相手の顔が見えるわけではありません。しかし今回は『クリスマス・ヴィレッジの子どもたち』という背景がわかる明確な対象がありました。誰かのためにするものづくりに、スタッフも『やりがい』や『喜び』を感じていたのではないかなと想像します。

こうして生まれた、与え合う「循環」は、対象者とOUCHIだけではなく地域と対象者、OUCHIと地域……と、全ての関係性に作用しているのではないでしょうか。

そして何より、純粋に子どもたちへ想いを寄せたことからアクションが広がり、つながりが生まれたことがうれしいですね」。

今後もクリスマス・ヴィレッジを含め、地域の子どもたちの支援につながるようプロジェクトを進めていくとのこと。3月にはひな祭りにあわせて第2弾の実施を予定しています。

OUCHIから地域へ、誰かの優しい想いを“くるり”と巡らせるプロジェクトが、さらに展開されていきます。



OUCHIについて

東京都足立区、大内病院近隣に立つOUCHIは、精神障害を持つ人たちが地域に戻るためのサポートをする施設です。
退院後の一時的な住居としてのグループホーム、就労訓練・就労場所としてのお菓子・パン工房とカフェ、ピアサポートや当事者研究などの各種ミーティングを行うための交流スペースを持っています。
どんな人にとっても孤独はつらいものです。寂しくなったり不安になった時にいつでも、話ができる仲間がいる場所。それがOUCHIの目指す場所です。

〒123-0841 足立区西新井5-18-14
OUCHIHOME/03-6803-1758
OUCHICAFE KITCHEN/03-6803-1755
営業時間:月〜金曜 11:30〜16:00

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