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工夫次第で可能性はもっと広がる!コロナ禍で実施されたデイサービスのレクリエーション(後編)

平成医療福祉グループでは、ミッション「じぶんを生きる を みんなのものに」を掲げています。ミッションを実現するための行動指針(アクション)の一つに「個人の意志とその人らしさを尊重する」(※1)があり、今回の記事はこの指針に沿って、利用者さんが生活のなかでの楽しみを増やすことを目指す取り組みにフォーカスします。

コロナ禍では従来通りの実施が難しくなった、介護施設やデイサービス(※2)でのレクリエーション。しかし、当グループでは、コロナ禍にあっても、オンラインの活用など、新しいレクリエーションを生み出すことに取り組んでいます。

後編では、3つのデイサービス合同で行われた「オンライン運動会」の様子を紹介すると共に、新たなレクリエーションの可能性を模索する姿勢について、スタッフに話を聞きました。

※1: グループサイト参照


※2:デイサービスとは、食事や入浴などのほか、レクリエーションや健康チェック、機能訓練などを提供する、高齢者向けの日帰りサービスです。

前編はこちらからご覧ください
【工夫次第で可能性はもっと広がる! コロナ禍で実施されたデイサービスのレクリエーション(前編)】


白熱! 3施設合同で開いたオンライン運動会

オンライン運動会は、当グループ介護福祉事業部 サービス企画課の声掛けで始まった、3つのデイサービスによるコラボレーション企画です。
運動会は、かおりの丘デイサービスセンター・平成デイサービスセンター平田・平成デイサービスセンター足立をオンラインでつなぎ、3回に分けて開催されました。各会場で座ったまま行う「玉入れ」を同時に実施し、3回の成績を合計して順位が決定。1位から3位まで、順位に応じた景品が授与されます。

2021年12月8日に、3回目となるオンライン運動会が開催されました。平成デイサービスセンター足立での熱戦の様子をご紹介します。

オンラインをつなぎ3施設同時に準備体操する様子。

1・2回目の開催で得た経験から、準備体操がスクリーンから見えにくかったという点や、競技の難易度が低かったなどの反省すべき点が挙げられ、改善を加えて実施された最終決戦。すべての施設が同条件になるように、かごの高さを約1.3mとし、椅子からかごまでの距離はひざから70cmと定められました。よりよいレクリエーション作りを目指して3施設が協働し、調整を重ねたうえでのルール設定となります。

当日は、開会宣言に始まり、ルール説明、準備体操を、オンラインを通じて同時に実施。その後30秒×2ゲームの競技がスタート。利用者さんたちは開始と同時に一斉に玉入れに熱を入れていました。

玉入れに使用する「玉」は新聞紙などの身の回りにある紙類で作ったもの。
競技の様子。

また、玉入れに参加するだけではなく、「応援する側」となって運動会に参加し、楽しむ人もいます。それぞれが一体となって取り組み、スクリーン越しに各施設の白熱するさまが伝わってきました。

応援にも熱が入ります。

順位に応じた「景品が懸かっている」ということも、参加した利用者さんのやる気を高めさせました。同時に、その想いに応えようとスタッフのサポートにも熱がこもります。ゲーム終了後には、3施設同時に利用者さんとスタッフが一緒になって大きな声を上げ、かごに入った玉の数を数えました。

3回の成績を合計した運動会の結果は、1位:平成デイサービスセンター足立、2位:平成デイサービスセンター平田、3位:かおりの丘デイサービスセンターとなり、現場は大盛り上がり。オンライン越しに表彰状を受けて、熱戦が終了となりました。利用者さんにとって、普段はあまりない「競い合い」は刺激が感じられ、協力したり応援したりする一体感は日常に充実感をもたらしたようです。

地域の垣根を超えて、従来ならば会えるはずのない施設の人たちと一緒に競技ができたのは、オンラインだらこそ実現できたもの。コロナ禍で生まれたこの企画は、スタッフ同士の連携とチャレンジする気持ちが、新領域のレクエーションを開いたことを示していました。


制限を設けず、豊かな発想でレクリエーションを作り上げて

意味のあるレクリエーションとは何か、また、実施するうえで大切なことは何かについて、研修時にもポイントを説明してくれた介護福祉事業部 通所介護部門管理者 理学療法士 前田 浩太郎さんに、改めて伺いました。

介護福祉事業部 通所介護部門管理者 理学療法士 前田 浩太郎さん。

レクリエーションという言葉自体には、心身を癒やし回復を図るための「休養」や「楽しみ」という 意味が含まれますが、前田さんは「レクリエーションを実施する、そのひとときだけを楽しめたらいい、というわけではない」と考えています。

「もちろん、レクリエ―ションの最中に利用者さんが楽しめることは大きな目的の一つです。ですが、提供する側の職員は、どんな目的を持ってレクリエーションを行うのか、深く考えることが大切だと思いますし、それ次第で内容は変わります。
例えば身体の機能維持を目的とするなら身体全体を使う内容となり、脳の機能を維持するためなら手先や考える力を活用するものとなります。気分転換を図るためなら、笑いや味覚を刺激することも有効でしょう。また、他者と交流する機会を持つためなら、よりコミュニケーションを活性化させるものがふさわしい。こんなふうに明確な目的を持てばレクリエーションの質は高まります。みんなで同じ時間を共有するとしても、個々の楽しみの、その先まで考える必要があると思いますね」

研修では、工夫が光る発想豊かなレクリエーションが紹介されましたが、グループ全体を見れば、レクリエーションが苦手で、ネタ探しから難しいと感じている職員もいるそうです。しかし前田さんは、そもそもネタは探すものではないと教えてくれました。

「レクリエーションを作り上げるきっかけは、利用者さんと接する日常のなかに転がっていると思います。普段のコミュニケ―ションを通して『こんなことがしたい』『ここを改善したい』などの個々のニーズを丁寧に吸い上げれば、求められるレクリエーション像が見えてきます。
レクリエーションに苦手意識を持つ人には『レクリエ―ションでは大きな声を出して、盛り上げなければいけない!』という先入観を持つ人も多いようです。しかし盛り上げることが得意な人がレクリエーションがうまいわけではありません。先ほどお伝えしたように一番大事なことは『目的を持つこと』です。だから苦手な部分は別の人に任せればいいんです。『目的』を明確にして企画・実施するなかで、自分の役割に徹すればいいのだと思います。
また、利用者さんを“楽しませてあげる”という目線で、ネタ探しに奔走したり、それを自宅に持ち帰ったり、職員だけで準備を進めることはレクリエーションの本質ではありません。利用者さんと“一緒に楽しむ”という対等な視点を持って考えれば、利用者さんも含めて、それぞれが役割を担って準備に取り掛かり、その過程を大事にできるのではないかと思います」

コロナ禍を機に、新たなレクリエーションを生み出すことができたように、状況に合わせて内容を変化させ、実践するのは大事なことだと前田さんは話します。

「オンラインの使用に苦手意識を持つ職員さんもいらっしゃいますが、今の時代、どの分野を見てもこのツールを駆使する流れが生まれています。一旦『オンラインという壁』を超えてしまえば、あのような盛り上がりを見せるイベントが実現できるんです。だから職員である私たちは、自分が持つ概念を一度外して考えてみることは大事なことだと思います」

コロナ禍の影響で、社会ではさまざまな様式の在り方が変化しましたが、それはデイサービスのレクリエ―ションにおいても例外ではありません。当グループではコロナ後も利用者さんの“生活の質”向上を第一に考えて、柔軟な姿勢でサービスをご提供していきます。

そして、利用者さんが当たり前の日常のなかに、時折“非日常”を感じられるようなレクリエーションの企画・実施も続けてまいります。




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