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HMW大学セミナーレポート#2

平成医療福祉グループは主に職員の視野の拡大を目的とし、オンラインセミナー「HMW大学」を開催しています。
今回、2024年6月14日(金)に開催された、第2回目のセミナーレポートをお届けします!

「HMW大学」とは?
平成医療福祉グループでは、医療福祉の優れた専門職になるためには、専門領域にとどまらず見識を広げ、社会全体を考えることが必要だと考えています。
そのため、医療福祉分野以外にもさまざまな分野で活躍する専門家を招き、話を聞いて視野を広げ、今後の業務における意識改革につなげるための学びの場としてオンラインセミナー「HMW大学」を始めました。
このオンラインセミナーは、グループ職員のみならず、誰でも無料で参加できます。



セミナーレポート 第2回

2024年6月14日(木)開催

講師:
武井 浩三さん(経営思想家・社会活動家・社会システムデザイナー)
城田 晃希さん(コミュニティマネージャー)

モデレーター:
手老 航一さん(平成医療福祉グループ 世田谷記念病院 事務長)

〈プロフィール〉

武井 浩三(たけい・こうぞう)さん 
1983年、横浜生まれ。高校卒業後にミュージシャンを志し、渡米。帰国後にCDデビュー。その後、起業するも倒産。「関わるものすべてに貢献することが企業の使命」と考えを新たにし、2007年にダイヤモンドメディア株式会社を創業。2017年に「ホワイト企業大賞」受賞。現在、非営利株式会社eumoの共同経営者として新しい金融に関わる。


城田 晃希さん(しろた・こうき)さん
「タマリバタケ」のコミュニティマネージャー。アートを用いてコミュニティの活性化や新しい価値の創造を目指す。「コミュニティアート」を追求するため、世田谷区を中心に活動中。



第2回目は、2024年6月に竣工したばかりの、当グループが運営する世田谷記念病院(東京都世田谷区)の新棟「2Co HOUSE(ニコハウス)」で開催し、オンラインにて配信されました。

2Co HOUSE外観。グループ職員が良いチームを育み、職員同士はもちろん、職員と地域住民がつながる「場」となることを目指して建てられました。


「2Co HOUSE」には、グループ職員のみならず、セミナーに興味をお持ちの方がたくさん来場されました!」



❝ハタケ❞なのに❝タマリバタケ❞でもある。
二子玉川の「タマリバタケ」
~都市部において人と人との繋がりをつくっていくために~


【タマリバタケとは】
「タマリバタケ」は、地域交流の「タマリバ」と農体験の「ハタケ」を組み合わせた造語です。コンセプトは「日常生活に農と人のつながり」。
世田谷区の二子玉川駅から歩いて程近くに位置し、「地域のつながりを育む畑」を目指したコミュニティ型農園として、NPO法人「neomura(ネオムラ)」と世田谷区が協働で実証実験を行う事業として発足しました。

セミナーは、タマリバタケ発足人である武井さんより、立ち上げの経緯と運営についての説明からスタートしました。

写真左が武井さん、中央が城田さん、右がモデレーターを務めた世田谷記念病院事務長の手老さん

武井さんはもとより、「まちづくり」の活動を行ってきましたが、「本当にいい街」とは何かを調べた時、「いい街とは、いい人間関係がある街」であるという研究結果があることを知りました。そうしたまちづくりのための、地域活動の一環として始めたのが、空地を活用した農園「タマリバタケ」です。
武井さんは、「土地の価値は収益ではなく、その場所を大切にする人々の存在」であると考えています。この考えのもと、タマリバタケは幅広い世代が集まり交流する場を目指し、2021年秋から畑活動を実践してきました。
武井さんは「これまでの活動を通じて、地域住民同士の絆が深まり、助け合いの精神が育まれていることを実感している」と話しました。


スライドに映し出されているのが「タマリバタケ」。タマリバタケの活動は、基本的にすべてが「手作り」で行われます。農薬を使わずに農作物を育て、公園のゲートや砂場、ブランコまでもが参加した住民たちの手によって作られています。世田谷記念病院の職員もこの活動に参加しています。


城田さんは、主にタマリバタケのコミュニティマネジメントについて説明しました。コミュニティマネジメントとは、人々の交流を促進し、コミュニティの成長を助けることを指します。城田さんは、アートに携わってきた経歴を生かし、コミュニティマネジメントにコミュニティアート(アートを媒介に人々とのつながりをサポ―トしたり、コミュニティ成長に生かす)の概念を取り入れています。
タマリバタケの運営は、オープンでフラットな体制で、特定のルールはありません。農業のプロフェッショナルがいるわけでもなく、会員制や予約制でもないため、活動日には誰が何人集まるのかもわかりません。しかし、農作物はそうした状況に関係なく植物のペースで成長していきます。

城田さんは、こうした予測できない状況を通じて、コミュニティマネージャーは、特定の場所に属さず、「必要に応じて活動をサポートすることが大切」と学んだと話しました。また、情報共有の必要性も伝え、コミュニティマネージャーが「話し合い」を呼びかけることは重要な役目であると伝えました。

内側向けの情報共有として、農園に情報共有ノートを設置したり、SNSを活用したりしています。外側向けにも、SNSでの発信のほか、広報誌の作成や「タマリバタケ展」(※最下部参照)のような展示会も開催しています。


最後に、城田さんはタマリバタケの活動を通じて、畑だけではなく、コミュニティも育ったと感じていると伝え、次のように話しました。

「植物が、土中環境さえしっかりしていれば農薬を使わずともちゃんと育っていくように、人も人間関係という環境(土壌)が育まれていれば、手をかけすぎなくてもコミュニティは育ちます。コミュニティマネージャーとして、これまで関わってきた人たちを信頼しているので、『信じているからこそ、待つ』姿勢でサポ―トを続けていきたいです」。

セミナーの終盤には、マネジメントの方法や人間関係のあり方について会場から質問が寄せられ、武井さんと城田さんは自身の経験を交えながら丁寧に回答していました。


HMW大学は次回、第4回目、グループリハビリスタッフが登場する「離島のリハビリ奮闘記」を2024年7月19日(金)に開催します。ご興味のある方はぜひ、ご参加ください!


※タマリバタケ展